完全敗北

完全敗北

今日は地下鉄に乗っていたら、真向かいにもの凄く太った60代前後の女性の方が座っていました。座席の端。

駅を出発するとすかさずこの女性、仰ぎ見る様に頭を後ろに傾け、大きないびきをしながら寝てしまう。多糖症で体が怠くて辛いんじゃないかな?と思って見ていました。

2~3駅を過ぎた頃、急にいびきが止んで、隣に置いた大きな手提げ袋を、今度はガサガサと何やら探している様子。

座席を2つ独占というか、もともと横幅が広い方なので、1.5人分の座席を使用しているから、手提げ袋で1座席を占拠には特に異論なし。

ガサガサが止んだと思ったら、中から「濃いカルピス500ml」が出没。

やっぱり糖依存かな?

キャップを2~3回捻ると、急に私が注目をしていた「濃いカルピスの手元」が止まる。

硬くて開かないのかな?と思ったら、そのキャップを開ける態勢のまま目が閉じている。

紛れもなく大事な時に寝ちゃったわけだ。

すると、手の握力も次第に抜け始め、握って持っている手首が反るような動きを見せる。

まてよ、まさか先程ので、ペットボトルの蓋が半開きなんてことだったら・・・と、一抹の不安がよぎる。

なにせ「濃いカルピス」なので、ぶちまけられたら大変だ。

私の意識はもはや、その濃いカルピスを握った手の動きに独占される。

反った・・・あ、また反った、今度こそヤバいかも・・・いや戻った!という感じ。

この眠った女性の隣の隣に(隣は荷物なので)座っていた30~40代の女性は、スマホのゲームに集中。何のゲームかは知らないが、やたらと画面を高速で擦るような動きをしていて、全く現実世界のこの状況を理解していない。

「危ない、逃げろ!こんな所で濃いカルピスを浴びせられる女性なんて、あまりにもシュール過ぎる!」と今度は念力。

しかし、先程にもまして、スマホの画面をひたすら擦り続ける女性。

そのせいで、一瞬、私が濃いカルピスから目を離した瞬間「ボトン!」と鈍い音。

もはやスマホを擦る方に意識を持って行かれていたせいか、音で「濃いカルピスが落ちた」と、咄嗟に認識できなかった。

視線を真向かいへ高速で移すと「わっ、落ちてるし!濃いカルピス!」と、発見が遅れる。

っが、ここまで妄想をしておいて、何事も起こらない。結局蓋を一切空けることもなく寝てしまったようで、濃いカルピスが女性にかかるシュールな空想、いや私の妄想は、単なる変態化したのである。

っで、この真向かいの女性、濃いカルピスが落ちた音で起きたようで(さっきまでわりと大きな音でもピクリともしなかったのに)、すかさずそれを拾い、また寝始めるのかと思ったら、濃いカルピスを開けに掛かる!

今度こそキャップが回っているのが見える。

寝るなよ!いや、ここまできたら、寝て濃いカルピスをブチ撒けるところを少しは見てみたいという自分もいる。

無事に開いた。が、まだ油断はできない。そこから寝ちゃうっていう、私の想像を超えてくる可能性すら秘めた女性。

飲んだ!一口、二口、三口~~~四口、五口~~~~~~~。

なんと、濃いカルピス500mlを5口で飲み干したのだ。

ことごとく、私の想像が完敗した一日だった。